アジャイルマニフェストとは

アジャイルマニフェスト (アジャイルソフトウェア開発宣言) とはどのようなものなのでしょうか。

Wikipedia は下記で説明しています。(2021年8月現在)

2001年に、アジャイルソフトウェア開発手法 (当時は軽量ソフトウェア開発手法と呼ばれていた) の分野において名声のある17人がアメリカ合衆国のユタ州のスノーバードというスキーリゾートに会し、彼らがそれぞれ別個に提唱していた開発手法の重要な部分を統合することについて議論した。 そして、彼らは「アジャイルソフトウェア開発宣言」(Manifesto for Agile Software Development) という文書にまとめた。 アジャイルソフトウェア開発宣言は、アジャイルソフトウェア開発とその諸原則を公式に定義した文書であると、広く認められている。 アジャイルソフトウェア開発

次に、アジャイルマニフェストの具体的な内容を下記に引用します。(全文は最終チャプターに掲載)

私たちは、ソフトウェア開発の実践
あるいは実践を手助けをする活動を通じて、
よりよい開発方法を見つけだそうとしている。
この活動を通して、私たちは以下の価値に至った。

プロセスやツールよりも個人と対話を、
包括的なドキュメントよりも動くソフトウェアを、
契約交渉よりも顧客との協調を、
計画に従うことよりも変化への対応を、

価値とする。すなわち、左記のことがらに価値があることを
認めながらも、私たちは右記のことがらにより価値をおく。

非常に短い文書ですね。
実質的には4行の文章です。
これのどこに仕事をする上で大切なことが詰まっているんでしょうか。

憲法と法律

アジャイルマニフェストは言わばアジャイルソフトウェア開発における憲法のようなものです。

その考えに沿うと、アジャイルの手法のひとつであるスクラムは法律で、XP で推奨されているペアプログラミングなどの具体的な手法は、さしずめ条例と言ったところでしょうか。

法律は憲法を土台にして作られるルールです。

憲法に反した法律は作ることができませんし、仮に憲法が変わるようなことがあっても、法律はそれに合わせて調整されてしかるべきです。

ただし、これは単なる比喩です。

実際にはスクラムを実践しながらアジャイルマニフェストに違反することはできてしまいますし、当然ながら罰則もありません。

ただ、それはやはりアジャイルとは言えないのではないか私は思っています。

原理・原則

アジャイルマニフェストはアジャイルソフトウェア開発における原理・原則でもあります。

私は原理・原則といった類や格言といった類が好きです。

歴史に名を残した偉人、宗教家、詠み人はわからずとも口伝されてきたことわざなど、原理・原則や格言は短い文章で真理を突いている上に、解釈に幅があります。

一見言わんとすることがよくわからない文章であっても、自身の知識や経験に照らし合わせて解釈すると、腑に落ちるということがあります。

その解釈が原理・原則を作った人の意図と異なるものであったとしても、自分なりに自身の知識や経験を照らし合わせて解釈したものなのであれば、それはその当人にとっては正しい解釈であり、自分のものとなります。

他者がどうこう言おうが、あなたにとっての原理・原則はあなたが解釈した内容で正しいのです。

この本は筆者なりにアジャイルマニフェストを解釈した結果、仕事をする上で大切なものがすべて学べたという内容について述べています。

したがって、縮小解釈も拡大解釈もあると思いますし、誤解釈もあると思います。

ただ、読者が何かしら共感できるものに仕上がっているのではないかと私は信じています。

次のチャプターからは、アジャイルマニフェストマニフェストの各宣言を一つずつ取り出し、筆者がその宣言をどのように解釈して、「仕事をする上で大切なこと」としての学びを得たかを一つずつ解説していきます。