まとめ

最後に解釈をまとめていきます。

これまで述べてきたことをひとつの図にまとめると、アジャイルマニフェストが生み出す構造が見えてくることに私は気付きました。

社会との相互作用

アジャイルと社会の構造

まずは、図の左側から説明します。

開発者と顧客は相互作用を通して、互いに影響を与え合い、互いに高みに発展していく関係性があります。

図の中では省略しましたが、開発者と開発者もまた、相互作用を通して互いに影響を与えながら、互いに高みに発展していく関係性があります。

アジャイルでは、開発者と顧客は仲間です。

開発者と顧客を包含する概念は個のチームになります。

図の中央側に移っていくと、チームとソフトウェアが相互作用を通して、互いに影響を与えながら、互いに高みに発展していく関係性があります。

そして、図の右側に移っていくと、ソフトウェアと社会が相互作用を通して、互いに影響を与えながら、互いに高みに発展していく関係性があります。

図の左側のチームとソフトウェアの相互作用からは、内的要因による変化が生まれ、図の右側のソフトウェアと社会の相互作用からは、外的要因による変化が生まれます。

私がこれまで話してきたアジャイルマニフェストの解釈は、この図によって総合されました。

ここで注目したいことは、我々はソフトウェアを通して、社会に影響を与える関係性の中にいるということです。

つまり、アジャイルとは、様々な相互作用を通して、価値のあるソフトウェアを生み出し、社会と相互発展する方法論なのだと解釈できたのです。

さらに言えば、これはソフトウェアに限った話ではなく、プロダクトやサービスに名称を置き換えても通用する方法論だとも思っています。

仕事をする上で大切なことはすべてアジャイルマニフェストから学んだ

筆者はアジャイルマニフェストの個々の宣言から、仕事をする上で大切なことを学ぶことができました。

そしてアジャイルマニフェストの各宣言の関係性を総合することで、ミクロな視点では 近くにいる開発者、近くにいる顧客、作っているソフトウェアとの相互作用を通して、マクロな視点ではソフトウェアとの社会の相互作用を通して、社会に影響を与えることができる可能性を発見することができました。

社会貢献と言うと大げさかもしれませんが、仕事を通して社会に何かを働きかけるその第一歩は、今いるその場所の隣人との相互作用に始まります。

そのことを肝に銘じて、仕事に取り組んで行かなければと身を奮い立たせています。

解釈のすゝめ

この話は筆者がアジャイルマニフェストをこのように解釈したという話です。共感できる人もいれば、共感できない人もいると思います。

最初の方に述べた通り、原理・原則というものは、自分なりに 解釈をして始めて自分のものになるものだと思います。

持っている知識や置かれている環境が違えば、異なる解釈が生まれるはずです。

ぜひ、最後まで読んでいただいた皆さんには、皆さんなりのアジャイルマニフェストの解釈をしてみてください。何でもない文章だったと思っていたものに、大きな発見があるかもしれません。

今後も、そうして生まれた解釈に触れることを楽しみにしていきます。

以上。