計画に従うことよりも変化への対応

最後は「契約交渉よりも変化への対応を」です。

これまで、対話を相互作用と解釈し、作用の対象を個人からソフトウェアやチームと言った個のオブジェクトに広げました。

ここで言及することはあまり多くはありませんが、変化とは何であるかを考えてみたいと思います。

内的要因による変化と外的要因による変化

変化には内的要因による変化と外的要因による変化があります。

ソフトウェア開発の属人化が進んでしまっている問題に対して、プログラマの知識や技術を継承する活動を始めたといった変化は内的要因による変化です。

新型コロナウイルスが流行したことで、開発中のソフトウェアに、音声入力のような非接触インターフェイスで操作できる機能の必要性が生じたといった変化は外的要因による変化です。

変化はチャンス

歴史学者のハラリ氏の書いた「サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福」では、今の人類 (ホモ・サピエンス) が繁栄した理由は、虚構を信じ、それを話す能力を獲得したこと (認知革命) だと言います。

それが偶発的に発生したものか、必然的に発生したものかは、未だ解明ができていないそうですが、その変化をチャンスに変え、生存競争を勝ち抜くことができました。

特に外的要因による変化は競合他社にも等しく訪れる変化も含まれます。

変化にいち早く適応し、先行者利益を得るチャンスである場合もあれば、変化の芽を観測し、さらなる大きな変化に備え、競争優位性が獲得できるように研究・開発を進めるチャンスである場合もあるでしょう。

変化はチャンスです。

変化は Fun

変化の乏しい日々はつまらないものでもあります。

マンネリ化した日々に刺激を与えるのもまた変化です。

特にプログラマという人種はテクノロジーの進化などで発生する変化によって知的好奇心をくすぐられます。

自身に立ちはだかった高い壁は、乗り越える楽しみをも与えてくれます。

そう感じない人も多いとは思いますが、変化が激しいアジャイルな現場で仕事をするのであれば、楽しいと捉えた方が幸福度を高く維持できます。

変化を楽しむことができるようになれば、「アジャイル宣言の背後にある原則」にある「変更への歓迎」が自然体となります。

変化は Fun です。

変化とは相互作用が生み出すもの、またはもたらすもの

以上が変化の特性の話になりますが、変化とは相互作用が生み出すもの、またはもたらすものと捉えることもできます。

製品開発チームの中で起こる相互作用が、内的要因による変化を生み出し、社会とソフトウェアとの相互作用が外的要因による変化をもたらします。

この原則から学べる仕事をするうえで大切なこと

最後にまとめます。この原則からは、変化に適応する勇気、変化を楽しむ精神が学べます。